中島卓偉「アコギタクイ−記憶再生−」ALBUM解説
デビューして13年目になり、今このタイミングでセルフカバーアルバムを作れることは、今日まで続けてこれた自分へのご褒美だと思ってもいいのかな?とレコーディング中ふとそんなことを思いました。
この数年、一人でアコギライブをやるようになってから、いくつものアレンジが生まれ、アコギライブの在り方も進化し、そのスタイルを一度形にしてもおもしろいかもしれない、そんな想いからこのアルバムの構想が生まれました。
『3号線』というシングルを出した後、ロックサウンド溢れるフルアルバムの製作に入ることも考えましたが、それよりもっと勉強して、最高の寄り道をした上でまた自分のスタイルに帰ったらもっと凄い音楽が作れるんじゃないか?そんな心の声が聞こえてきました。
アコースティックと聞くと、フォークソングをイメージする人も多いと思います。言わばアコースティック=静かな音楽、という確立された世界観。このアルバムを聴くとその固定観念が吹き飛ぶこと請け合いです。このアルバムは自分にとってのアンプラグドであり、普段のバンドサウンドとは違うもうひとつのステージであり、歌や歌詞のリアルを伝える一番濃いアプローチだと思っています。
最初の10年は「ロック」というひとつのプラグしか差さないやり方で突き進みました。
ここ3年、いろんなスタイルで音楽を表現しながらまだ新しいスタイルや新しいロックスタイルがあるんじゃないかと日々もがいています。
一度しかない音楽人生、進化を続けたい。やりたいことは全部やりたい。
「記憶再生」というテーマを掲げたレコーディングセッションは新しい発見がいくつもありました。
アレンジはひとつじゃないことを改めて実感しました。
思い出を掘り返すのではなく新たに再生して前に進む。
出来上がった曲達を聴いた時、ああこれはもうひとつの自分のベストアルバムなのかもしれないなと思えました。
このシリーズは今後も続けていこうと思います。そしてこのスタイルで新曲を書き、まとめてみるのもおもしろいかもしれない。
アルバムを改めて聴き、歌っていいな、音楽って素晴らしいな、ロックって最高だな、アコギってすげえ楽器だなって、再確認した上で一番感動したのは、そう、自分です。